おわりに

以上のことから、様々な背景のもと、物流拠点内において、実際に区分して保管するこ
とが行われてきたと考えられる。
また、会計監査の観点からすると、実地棚卸自体、監査時の年二回しかないことに留意
しなければならない。年二回のために前述した問題点を抱え、それが物流コストの増加の
一因となっていることが指摘できる。このような決算時のために保管場所を所有権ごとに
区分して保管することは何のメリットもないことも判明した。会計上、棚卸資産の評価基
準の論議は行っているが、実地棚卸を物流拠点内からの論議は行われていないのが現状で
ある。すなわち、実地棚卸は改善を発見するという作業から見ると必要なことではもちろ
んあるが、いかにその棚卸資産としての評価基準を決定するかの方が、経営上、重要とい
う判断に基づくために、前述した運用が行われているのが実状となる7)。
また、物流拠点の運用上、保管区分をなくすということは、特に作業の応援体制におい
てのメリットが高い。一般的に、作業を固定化して組織体制を組むと、ある作業が逼迫し、
他の作業組織に応援を要請しても、応援する側として、担当する作業が終わらないと応援
することはできないという意識を持つ。担当する作業が第一優先で、応援とはあくまでも
お手伝いの感覚になることに留意しなければならない。保管場所を区分しないということ
は、作業自体も集約されることになり、作業体制の簡素化、作業応援体制の確保が柔軟に
なることも予想される。作業の重複を可能な限り排除することにより、人件費を削減する

ことも可能となる。
このような現状が、単に、会計監査の慣行だけではなく、拠点内のムダなコストを押し
上げている一因でもある。
物流部門でのコスト削減には限界があり、全社的に物流コスト削減に向かわなければな
らない。このため、本稿で述べたよう、会計監査における慣行を改め、コストに直結する
保管場所の省略化や、無駄な作業の排除を行い、物流コスト削減につなげていかなければ
ならない。

大きく要約するならば、企業内の問題を問題としてきっちりと精査することで、
頭の中の集積回路という名の物流を円滑に行う事こそが
会計監査の観点や様々な場面での物流・インフラを精査し円滑な物流と物流コスト削減のきっかけとなる。
そのことを理解し、本サイトの情報を活用して頂ければと思う。

「棚卸資産の評価基準低価法に統一検討」,『日本経済新聞』,2005 年 3 月 12 日によると、
「企業会計基準委員会は、棚卸資産の評価基準を時価評価を基本とする低価法に一本化する
方向で検討している。棚卸資産の評価方法は、原価法と低価法の2種類があり、国際基準は
低価法に一本化しているが、日本は原価法と低価法の選択適用で、大半の企業が原価法を採
用している。早ければ 2006 年 3 月期から低価法に統一する可能性もある」と論じている。

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