物流コスト削減におけるキーワード

●[物流]という言葉は、[物的流通]を縮小した言葉であり1960年代に米国から導入されて以降、今日に至るまで発展を続けてきた。
当初の物を運び保管するという狭い領域から解放され、企業内における物流の効率化を図った
[ビジネスロジスティクス]の時代を経て、現在は[サプライチェーンロジスティクス]の時代だと言われている。
更には地球環境にやさしく効率的な物流を提供すべく[グリーンのジスティクス]の時代に入ったとも言われている。
●また、物流は[流通]の一部である。流通は、物流(物的流通)と商流(商的流通)からなるが、
近年、物流の効率化が求められた結果として両者を分離する商物分離が一般的である。
●このように重要な物流であるが、わが国においては物流軽視の風土があり、戦後、米国よりその概念が輸入されたが、用語としての理解に留まり
、物流概念の本質的な部分、即ち、物流システムの目的である全体最適のために構成要素を合理的に組み合わせるというトータルアプローチについて理解が不足し、
つい最近まで企業、行政とも物流には重きを置いていなかった。しかしながら最近は、物流に関する関心が高まりつつある。
●[物流は第3の利潤源]と言われている。これは西澤脩氏によって提唱されたもので、第1の利潤源である売上増や第2の利潤源である製造原価・仕入原価の低減に比べて、
物流コストは販売活動の付属物のように位置づけられ無視されてきたが、この物流コストはその削減により、下図の様に大きな利潤を生むということなのである。
物流コストを低減する領域としては、
①物流諸活動(輸送、保管、出荷作業、等)の効率化、
②在庫量の適正化、
③顧客納品を規定する“物流サービス”の適正化 が挙げられるが、物流コストの把握は、現在の財務会計システムでは把握できないので、
それが可能な方法として、経済産業省が「物流コスト算定マニュアル」により幾つかの方法を示している。その一つが物流ABC(活動基準原価計算)である。
この方法は、物流の諸活動をベースとしてコストを算出するもので、物流コストの把握およびその改善に非常に有効であり、これを用いた成功例も多く見られる。
●サプライチェーンマネジメントの観点から、流通過程の在庫の削減とリードタイムの削減を図ろうとする動きが、
メーカー、卸売業、小売業、それぞれが主導した形で進められている。
メーカー或は卸売業が主導でサプライチェーンの最適化を図るCRP(継続的商品補充プラグラム)やVMI(ベンダー主導型店頭在庫管理)、
及び小売業が主導する一括物流やデマンドチェーンマネジメント等のビジネスモデルが注目されており、着実にその成果を上げているようである。
●物流を制するものは企業を制す。-以上、簡単に物流を巡る最近の動きの一部をご紹介したが、
物流というものは生産・販売を支援するものとして今後益々、重要となってくることは間違いない。
物流に対する理解の有無が企業の命運を左右することになるかもしれないということを最後に述べておきたい。

■物流コスト算定・活用マニュアルとは(1381)
バブル経済の崩壊に伴い、産業界はいまダウンサイジングによるリストラが強く求められ、適正規模までの事業規模の縮小による減収増益を図る必要に迫られている。
そのために、”原価削減の宝庫”と称される物流に取組み、大幅なコストダウンを断行することが肝要である。財務諸表上の支払物流費は、メーカーでは売上高の2-3%にすぎないが、
総物流コストは売上高の9%にも達しているので、売上高純利益率2%の会社では物流コストを10%削減すると、年商を45%増加させたのと同じ利益効果があげられる。
このような物流コスト削減の乗数効果を達成するには、物流会計を導入し実践することがその前提となる。その一環として、筆者等は、1992年に通商産業省で『物流コスト算定・活用マニュアル』を制定し、
物流商品有料化運動に着手した。このため、イレギュラー物流を要請した原因者には、当マニュアルに基づいて計算した物流コスト増加額を転嫁することによって、
価格メカニズムを通じ物流の社会的適正化を実現することが急務となる。

ステップ1
物流コストの大枠をつかむ
①帳票や伝票から物流に係わる経費(人件費、配送費、保管費等)を簡便に分類、集計します。
②分類、集計が複雑な自家物流費は原則として推定し、支払物流費は実績でつかみます。

《手順》
①帳票や伝票から物流に係わる経費(月額)を費目別に分類・集計し、
原則として計算基礎に数量を掛けたものを金額欄に記入します。
②各費目毎の金額を項目別に小計をします。
③各項目の小計金額の合計をします。この合計がトータル物流コストに
なります。
④各項目毎の小計をトータル物流コストで割ると、各項目の物流コスト
構成比が計算できます。
⑤トータル物流コストを売上高、出荷金額、粗利金額で割るとそれぞれ
に対する物流コスト比率となります。

ステップ2
損益計算書から物流コストをつかむ
①物流活動関連データに基づいて、実際の物流活
動に即したコスト分析を行います。
②損益計算書からコストデータを算出する点がス
テップ1と大きくことなります。
③物流担当者数、物流車輌数、物流関連面積など
の物流関連データ表を作成します。

《手順》
①損益計算書より各費目に該当する「金額」に転記します。
尚、販売員旅費、交際接待費、支払利息・割引料は物流コストに含ま
れないので、ここでは除いてあります。
②表中の「物流コスト算出基準」により、物流コストを計算し、その結
果を表中の「物流コスト構成」欄の大枠内に記入します。その際、上
記の「物流活動関連データ表」のデータを使います。
③AからE迄の項目ごとに物流コストを縦列で合計し、記入します。
④③の結果を合計するとトータル物流コストが算出できます。
⑤AからE迄の構成ごとの物流コストをトータル物流コストで割ると、
それぞれの物流コスト構成比率が算出されます。

ステップ3
作業別に物流コストをつかむ
①ステップ2より更に細かく受注、入荷・検品、
ピッキング等の作業項目別に物流コストをつか
む方法です。
②個人別作業時間表(作業別)、作業別床面積表を作成します。

ステップ4
ステップ3をもとに、活用目的に応じて物流コストを
つかむ
①ステップ3で算出された物流コストを、商品別
あるいは商品群別など活用目的に応じて、物流
コストをつかむ方法です。
②活用目的に応じた出荷金額や出荷個数のデータ
が必要になります。

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